院長のつぶやき
随想(苫小牧民報新聞ゆのみより)
2週間に1度、月曜日の苫小牧民報に掲載された文章です。
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アトピー性皮膚炎は生活環境病?
平成11年6月7日 苫小牧民報「ゆのみ」より
高血圧や糖尿病などかつての成人病は、ライフスタイル(生活習慣)が大きく関係し、その改善が重要だという理由で最近「生活習慣病」と呼び方が変わった。薬だけの治療にたよらず、運動不足や食べすぎ、たばこなどの生活習慣を改善して病気の予防と治療に役立てようということだ。
一方、新聞やテレビに環境ホルモンが毎日のように取り上げられている。またシックハウスシンドローム、化学物質過敏症、電磁波過敏症という病名も良く聞かれるようになった。
文明が発達して生活が便利になり、私たちの身の回りに数え切れないほどの化学物質や電磁波(電気製品)などが存在し影響しているのだ。以前ダイオキシンが牛乳から検出されテレビで騒がれた時は、遠い都会のことで自分には関係ないことだと思っていた。
しかし環境問題の勉強をして、知れば知るほど、環境ホルモンや化学物質、重金属、電磁波の影響が私たちの日常生活に深く浸透してきていることに驚く。アトピーはアレルギーが関係するされているが、私の経験では抗アレルギー剤が良く効くことは少ない。
アレルギーが関係しているにしても、その本質は別ではないかと疑っている。その証拠に生活環境が変わることによって良くなったり、悪くなったりする患者さんが多い。私が子供の頃はアトピー性皮膚炎の子供は少なかったが、今はとても多い。
アトピーの子供を持つお母さんに次のように話している。「工場廃水や家庭排水で汚れた川に住むお魚さんが皮膚病になりました。飲み薬やぬり薬をもらう事だけが治療だと思いますか?川の水を少しづつきれいにすることも大切ですよ。そして多少汚れた川でもたくましく生きていける丈夫な体質に改善する努力をしましょう。」