院長のつぶやき
随想(苫小牧民報新聞ゆのみより)
2週間に1度、月曜日の苫小牧民報に掲載された文章です。
バックナンバーはサイドメニューのリンクよりご覧いただけます。
私の治療体験(1)
平成11年7月19日 苫小牧民報「ゆのみ」より
15~16年前の医学部3年生の時、ひどい肩こりと腰痛、そして不眠症に苦しんでいました。偶然「手かざし治療」の記事を読む機会があり、以前から気功術などに興味を持っていた私は、この治療を受けることにしました。
ちょうど生理学、解剖学などを習い始めた頃で、「医学を勉強し、科学の最先端を学ぶ者が、うさんくさそうな治療に頼っていいのだろうか。インチキだったらどうしよう。」と迷ったのを覚えています。しかし「わらにもすがるとはこういう気持ちなのか」と考えながら決心したのです。
高校に入った頃から姿勢が悪く不眠となり、じくじくとした肩こりや腰痛のため、眠りたいのに寝られない長い時間を耐えるのはつらいものでした。夜が明けて小鳥がさえずる頃になってやっと寝入ることができ、朝は背中の痛みのためえびぞり状態で目がさめるあり様でした。
いくつもの整骨医院やカイロプラクティックの治療を受けたり、整形外科を受診しましたが良くならず、整形外科の先生からはノイローゼを疑われたこともありました。腰痛のためイスに座って勉強できず、ベッドの上に腹ばいになって痛みや体のだるさに耐えながら勉強していました。
自分の大学病院の整形外科も受診しましたが「誰だって少しくらい背骨は曲がっているよ。肩こりくらい誰でもあるよ。」と相手にしてもらえませんでした。
患者の痛みやつらさは医師にはなかなか分かってもらえないものだと、実感させられました。今にして思えばこれらの経験すべてが私にとって、患者さんの気持ちを理解し病気を治すという使命を果たすための訓練の一部だったのだと思います。それにしても、つらくつらく苦しく長い闘いでした。