院長のつぶやき

随想(苫小牧民報新聞ゆのみより)

2週間に1度、月曜日の苫小牧民報に掲載された文章です。
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涼しくなる?話

  平成11年8月16日 苫小牧民報「ゆのみ」より

 医師になってまもなくの頃、たまたま雑誌でこんな記事を読んだ。東京大学医学部付属○○病院に勤務するA先生の体験談。「やはり今日も来たか。これで3人目だ。お年寄りの患者さんが亡くなると、その晩にお世話になりましたと別れの挨拶に訪れる…。」 

 ほんとかな~と半信半疑だったが、これほど患者さんに信頼されるドクターになりたいものだとも思っていた。しかし、まさか自分も似た体験をするとは考えてもいなかった。

 東京の診療所に勤務していた時、入院中のお年寄りが亡くなる直前に”虫の知らせ”が何度かあった。夏の夜に寝苦しくて眠れないでいると、夜中の2時頃目をつぶっているのに急に目の前が明るくなり「あれっ!何だろう。重症のBさんが急変したのかな」と思っていると電話が鳴って「Bさんが亡くなられました」と連絡がくるといったことが何度かあった。

 また、登別のC病院に勤務していた時、長年入院していたDさんがいよいよ危篤状態になっていた。日曜日に苫小牧の実家にいた主治医の私は、Dさんの容態を気にしながら用事でさらに出かけようとしていた。

 その矢先、急に私の体が苦しくなったので「何事だろう」と驚いて病院にDさんの容態を問い合わせたが、何事もないとのことで車で出発した。ところが5分もしないうちにポケットベルが鳴り、「先生すみません。大丈夫と報告したばかりですが、たった今急変して亡くなられました。すぐに戻って来てください。」ということもあった。

 今この文章を読んで、ほんとかな~と思っているあなた。あなたもお盆の今夜、似た体験をするかもしれません?今年の夏、苫小牧は暑い日が多く寝苦しい夜が続いていますが、この話を読んで少し涼しくなったでしょうか?

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